0歳~3歳までのモンテッソーリ教育

人生において最も重要な時期は大学教育の年齢ではなく、
一番始めの時期、誕生から6歳までの期間です。
なぜならば、その時期こそ人間にとって最も偉大な道具である、
知能が形成される時期だからです。

マリア・モンテッソーリ

大事にしたい子どもの敏感期と変容期

「敏感期」とは、生物学者デ・フリースによって発見されました。生物が生まれながらに備えもった能力を発揮する、ある限られた時期を示す言葉です。

卵からかえったばかりでまだ目の見えない蝶の幼虫が、木の枝の先端にある柔らかな新芽にたどり着けることに着目したフリースは、生まれたての幼虫に「向光性」(光に反応し、光源に向かう習性)があることを発見しました。しかしこの向光性は、成長して新芽以外の硬い葉を食べられるようになると消失してしまいます。

自然の摂理に順応して生きるために、目が見えない時期の幼虫に与えられたこの能力(光に鋭敏に反応し行動する能力)ですが、もし、生まれたての幼虫を、光の当たらないところに放置したら、その幼虫は動けずにやがて死んでしまうでしょう。蝶の幼虫が持つこの能力は、適切な環境があってこそ発揮されるものなのです。

モンテッソーリ教育の創始者であり、女医であったマリア・モンテッソーリ(Maria Montessori, 1870~1952)は、この「敏感期」を子どもの発達に応用して、人間の子どもに訪れる数々の重要な敏感期を発見しました。そして、蝶が卵から幼虫になり、さなぎ、成虫へと変容していくように、0~6歳の子どもも、人間として大きく成長していく変容の連続の時期にあるということを重要視しました。子どもの大きな変容期と重なるように、その敏感期は0~6歳で顕著に現れるからです。なかでも、将来の人格や知性の土台となる発達の敏感期は3歳までにもっとも強く現れると説いています。

敏感期にある子どもは、生まれながらにして備え持っている「自分でできるようになりたい!マスターしたい!」という欲求が現れる時期にいます。この時期の子どもは、特定の行動をスムーズにかつ完全に習得できる状態にあります。そして大切なのは、この「特定の行動」こそ、人間に必要不可欠な心身の技能を習得するための行動であり、これを生じさせる「きっかけ」が、子どもをとりまく環境の中にあります。適切なタイミングと環境が整っていれば、子どもは存分に必要な技能を身につけ、自信に満ちて育っていくことができるでしょう。

しかし敏感期とは、限られた期間にだけ開け放たれる「扉」のようなものです。この素晴らしい成長エネルギーも、周りにいる大人が気付かなければ消失してしまい、心身の技能を獲得する数多くのチャンスを失ってしまいます。

幼児期の発達とその敏感期

言語の獲得 3歳までに言葉をどんどん吸収していきます。

人間は、生後すぐには話せません。『言語を吸収する本能』によって学び、徐々に獲得していきます。その際、言語の単純さや複雑さは関係ありません。なぜなら、子どもは生まれおちたその場所の文化・言語を吸収していくため、どのような言語でも習得できる状態で生まれてくるからです。日常生活の中で、複数の言語(たとえば日本語や英語など)にふれていれば、そのいずれもマスターすることができます。特に0~3歳の子どもは、「たくさん聞く」ことを本能的に行っています。そのため、3歳までに身の回りの環境にある基本的な言葉(周りの大人たちが使っている言葉)をどんどん吸収していきます。子どもは次に、自らが話し始めるようになります。

この時期に家庭でしてあげたいこと

お子様にたくさん話し掛けてあげましょう。その際、はっきり・正確に、お子様の目を見ながら話してあげましょう。また、小さな子に話すのだからと侮らずに(赤ちゃん言葉など使わずに)敬意をはらうことが非常に重要です。また、将来お子様に話して欲しいと思う話し方で話し掛けてあげて下さい。お子様は、語彙(単語)だけでなく、声色や話し方を通して相手の感情や人との関わり方も学んでいるのです。これらは、録音や録画したものでは絶対に学ぶことができません。また、たくさん本を読んであげたり、歌を歌ってあげたりするのも、素晴らしい言葉のシャワーとなります。

秩序感 「心身の安定と調和」のとれた状態

2歳の時期に、もっとも強く敏感期が現れます。秩序とは「心身の安定と調和」のとれた状態のことで、子どもはそれを本能的に求めているのです。例えば、傾いた直線より水平の直線を見るほうが落ち着く感覚や、お父さんとお母さんが仲良く自分を見守ってくれているといった安心感、決まった時間に食事・活動・睡眠などがとれる日常生活などがそうです。このように、安定した環境と精神によって、子どもは自分という存在の位置を確認しています。仮に、このような安定した環境が得られない(無秩序)状態だと、子どもは精神的に不安定になり、かんしゃくを起したり、不安で臆病になってしまうこともあります。

この時期に家庭でしてあげたいこと

温かな家族の関係を大切にして、ご家庭で毎日決められた日課を守るようにしましょう。そして、家にある「物」が、決まった場所にある状態に(家族の誰もが、すぐに見つけられ、使ったらしまえるように)しましょう。

運動機能の向上(発達) 目と指先の感覚を同時に使うことで、運動の調整ができるようになっていきます。

赤ちゃんが手足をばたつかせたり、しきりに手指を動かするように、子どもは誕生した瞬間から、自分の身体を使って「運動」を学んでいます。そして、1歳半くらいまでに「歩く」という偉業を成し遂げます。その後さらに、物を使って遊ぶ、小さな物をつまむといった、より細やかな動きを求めるようになります。ハサミで紙を切る、穴にひもを通すなど、目と指先の感覚を同時に使うこと(『目と手の協応』といいます)で、運動の調整ができるようになっていきます。これにより、自分の身体を完璧にコントロールすることができるようになるのです。

この時期に家庭でしてあげたいこと

刃物は危ないからといって、その全てを遠ざけるのではなく、お子様が安全に使えるハサミなどを用意して、一緒に使ってみましょう。また、ボール遊びなどにはたっぷり付き合ってあげましょう。

小さいものへの関心 生き物や物質に触れる機会を大事に

この時期の子どもは、大人が気付かないような(または無意識のうちに気付こうとしないような)小さな虫を飽くことなくじっと見ていたり、小さな木の実を一心に摘んだりすることが大好きです。小さくて細かなものに対しての関心が非常に高いので、わずかな違いやニュアンス(雰囲気)にも気づくことができます。

この時期にしてあげたいこと

小さいもの(特に虫など)に対する大人のマイナスの価値観を、子どもに押し付けないような配慮を心掛けましょう。危険が及ばない範囲で、できるだけ様々な生き物や物質に触れる機会を与えてあげましょう。

運動機能の向上(発達) 五感の発達

赤ちゃんが手足をばたつかせたり、しきりに手指を動かするように、子どもは誕生した瞬間から、自分の身体を使って「運動」を学んでいます。そして、1歳半くらいまでに「歩く」という偉業を成し遂げます。その後さらに、物を使って遊ぶ、小さな物をつまむといった、より細やかな動きを求めるようになります。ハサミで紙を切る、穴にひもを通すなど、目と指先の感覚を同時に使うこと(『目と手の協応』といいます)で、運動の調整ができるようになっていきます。これにより、自分の身体を完璧にコントロールすることができるようになるのです。

この時期に家庭でしてあげたいこと

刃物は危ないからといって、その全てを遠ざけるのではなく、お子様が安全に使えるハサミなどを用意して、一緒に使ってみましょう。また、ボール遊びなどにはたっぷり付き合ってあげましょう。

社会性の学習 家庭の外にある関係(社会)にも本能的に適応していきます。

子どもは3歳までに、家族という愛情と血縁による繋がりを理解します。家族を通して基本的な社会との関わり方を無意識に学び、その後、同じように家庭の外にある関係(社会)にも本能的に適応していきます。2歳を迎えるにあたって、家族によって守られた環境から、さらに広がった共同体(多くは幼稚園や保育園といった集団)と出会うことで、子どもは飛躍的に社会性を学びとっていきます。このため、家族と離れて初めて出会う共同体が与える影響は、大変大きなものだといえるでしょう。

この時期に家庭でしてあげたいこと

お子様はご両親をはじめとしたご家族の行動をよく見ているということを意識してください。礼儀とは相手や周囲に対する敬意・思いやる心の表れでもあり、その人の品格を示すものと言えるでしょう。マナーや言葉遣いなど、形式だけでなくその気品を伴った行動で、お子様にお手本を示してあげましょう。

おさそいの言葉

当園のプレスクールでは、お子様の「これやってみたい!」という気持ちに基づきながら、お子様、一人ひとりに合った教材をご用意しています。

1歳児クラスのお子様は、自分で立って歩けるようになることにより、意識を持ちつつ手を使うことを楽しむ年齢となります。
物をもつ・つまむ・入れる、穴にひもを通すなどのお仕事やお花にお水をあげる、階段を上る・すべるなどの体を使った教材もご用意してあります。
また、ズボンをはいてみる・靴を履く・お食事を食べるなど、自分でやりたがり、たくさんの自立をしようとする年齢ですね。特に排泄面では、お母様と一緒にトイレットトレーニングを進めて参りたいと思います。

2歳児クラスでは、より一層心身共に成長され、お子様自身も身の回りの自立をしたがる時期となります。また、ご自分の意志もたくさん主張する「いやいや期」と呼ばれる時期にも入ります。「大人の困った!」はお子様の成長のあかしです。お子様の気持ちにより沿いながら見守っていきたいですね。小さな「できた!」という経験が「もう一度やってみたい!」という繰り返しに繋がり、いづれ大きな「集中」となっていきます。その大切な土台を作っているのがこの2歳児という年齢です。たくさんのことを経験し体験してほしいです。

私たち高根学園スタッフ一同は、このことを踏まえて、お父様やお母様方と話し合い、環境作りのお手伝いが出来ることを楽しみにしております。
いつでもご連絡下さい。